
スマート工場化、スマート倉庫化へいかに取り組むか。
2025/6/23
お聞きになったことがある言葉かもしれません。有名企業の倉庫の動画など見たことがある、セミナーなどんご参加されたことあるという方も多いのではないでしょうか。
現状ではロボティクスやデータ活用、各システムの連携などといった工場、倉庫のIot化を指しています。
それにより
・省人化
・安全確保
・設備の機能向上(最適化出来る、必要に応じたラインの変更修正がしやすくなる、受けられる仕事が増える)といったアップデートを図っていきます。
スマート工場、倉庫に明確な定義はない。
スマート工場、スマート倉庫というキーワードに現在明確な定義はありませんが、経済産業省や各業界団体レベルで推進策やガイドライン策定が進められています。
本を読むだけで大変なほどの要素の数。
おそらく工場責任者の方であれば、参照したような現場改善の書籍(最後に掲載)はご参考されている方も多いと思います。
工場、倉庫では稼働効率やスタッフの配置、迅速な変動可変性、サプライチェーン連携、安全性やクレンリネスなどポイントは多岐に渡ります。
ですが、要素が多くすべて捉えきれない、本も読むだけで一苦労というのが本音の方も多いいのではないでしょいうか。そこで状況を整理するためのポイントをお伝えできればと考えました。
「なんのためにスマート化するのか」の明確化が大切。
ロボットなり情報ソリューションを導入する場合に必要なのが「何のために何を導入するのか」を明確にすることでしょう。
それにより、多くのロボティクス、情報処リューションなどの製品群から何を導入するかが絞れてくると思います。闇雲にロボットやデータ管理システムを入れてしまい混乱することを防げます。
海外の例ですが
◯Amazon(ECコマースの省人化、迅速化、精度向上などをDXで改善)
無人搬送システム(棚がスタッフの元へ商品を運んでくる)、自律移動型ロボッ(AGV)などを導入。
◯ウォルマート(倉庫と店舗の連携などをDXで改善)
ロボット清掃機、棚スキャンロボット、自動ピッキングなどを導入。
Amazonもウォルマートも小売ですので倉庫をスマート化していることは同じです。
ですが事業の方向性が違いますので改善点は変わります。そこを明確にしロボティクスや情報ソリューションなどを選んでいるわけです。もちろん失敗などもしていると思いますが、そこからまた改善点を見つけているわけです。
これはグローバル企業の事例ですが、現場の大小は関係ありません。
皆さんの現場がどんな規模や状況であっても目的から導入意図を明確化することでIoTによる効率化が実現できる可能性は高まるでしょう。
企業の工場・倉庫と町工場でも考え方は変わる。
例えば例に挙げたAmazonのように企業内の工場や倉庫の場合、まず企業としての方針があるので「どんな工場が必要なのか」を直接関わるセクション担当者などと話し合うなどでどのように改善するかが明確になっていくでしょう。
企業の中での役割は決まっていますからそこから考えることができます。
ですが、町工場のように様々な依頼先の仕事を請け負っている場合「工場、倉庫としてどうありたいか」「この事業を通じてどのような価値を提供するのか」といった「どこを目指すのか」と、自身が独立した企業であると捉え「企業としての方針(理念やビジョン、パーパスなどというもの)」を見直すことをお勧めします
例えば「この技術に強みがあるので、それを軸にこのような価値をこのような依頼先に提供する」「どんな依頼でもフレキシブルに対応できるようにしたい」といったものです。ここにきまりはありません。
実は本音で考える方が良い
実はここで大切になるのは「主体的に、本音で考える」ことです。
初めは「ビジョンとパーパスの違いってなんだ?」など考える必要はありません。そこは後回しで大丈夫です。
現状の資金や技術などからここまでだなと現実的にお考えになられていく企業が多いのですが「本音ではこう考えている」「現実離れしてるかしれないが実はこうしたい」というものがあれば状況はどうあれそれを設定した方が、時間はかかっても実現していく可能性が高まります。
また本音で決めたほうが、経営的にも高いモチベーションを維持でき、現場改善や営業面も含めた意思決定の基準にもなります。
例えばJINSは「イケてるメガネを作ろう」と自分たちの言葉で設定しています。商品開発や店舗づくりなどもこれに沿っています(この言葉自体は企業スローガンなどにしていません)
任天堂も「誰にでも楽しめるゲームを提供する」を基本に置いています。技術力が上がっても高度化しすぎる、マニア向けすぎるゲームは作らない方針です。初心者、ライトユーザーがゲームの世界に入ってこれなくなるからです。
これも明文化はしていませんが、この考えに沿ってゲームや本体機器の開発をしています。
JINSも任天堂も景気不景気などの状況からではなく主体的に本音で考え設定しています。
ここに大企業中小零細企業も関係ありません。
世の中や経営環境は常に変化すると捉えておいた方が良い。
逆説的ですが、景気や状況に合わせて方針を考えると、状況や経営環境が変わったときに右往左往することになるでしょう。景気不景気、技術イノベーションなどはいつの時代でも常に起きます。なくなることはありません。ということは外部要因において安定というのはないということです。
ですので状況に合わせる方向設定は一見現実的に見えて、実は企業としてのストレスの原因になりえます。
「本音ではこうしたい」で決めてしまうとそれが主体的な基準となり「では今の状況ではどうするか、なにするか」と考えられます。受け身でなくなるので好調時になにをしておくかも設定しやすくなります。
私どものような業者に相談する際にもポイントを伝えやすくなるメリットもあります。
DX化Iot化のみならず「水すまし」「カンバン方式」といった既存の改善策を導入するかどうかの判断軸にもなるでしょう。「水すまし」などはロボットで行うことが出来ますので、どういった方法で取り入れるかの基準にもなります。
これは大手企業の工場や倉庫では出来ない独立した町工場、倉庫ならではの特長ともなりえます。ぜひ強みと捉え取り組まれてみてください。
まとめ
スマート化へ向けた取り組みは、設備の機能向上だけでなく、環境整備が訴求ポイントとなり良い顧客や人材獲得へ繋げる材料にもになる、といった競争上のメリットも出てきます。よく整備された工場、倉庫には顧客や採用候補者にも見せたくなるでしょう。
またロボットなどを早期に導入することで。スタッフにや早い段階でロボット慣れしてもらうこともできます。今後ロボットなどが入ってくることが当たり前な時代になります。そこへ先手を打てます。
スマート化はアナログを捨てろということではありません。
例えばピクサーのようなCGアニメを作っている会社でも、セル画アニメ時代のスタッフがアドバイザーなどの立場で活躍しています。いい技術、本質を捉えた考え方は捨てる必要はありません。そこは必要に応じた柔軟にお考えになるといいでしょう。
それら指針となるのが「どのような工場、倉庫にしたいか」を設定していく作業となります。
「スマート化」ではなく「適切なスマート化」にするにはどうするかと捉えるといいでしょう。弊社でも現場に合わせたロボティクスやソリューション導入のご相談お受けいたします。
参考文献/資料
「イラスト図解 スマート工場のしくみ」川上正伸ほか編著/日本実業出版社
「今と未来がわかる工場」多田夏代著/ナツメ社
※一般的な工場スマート化など改善策の本です
「図解でわかる スマート工場のつくり方」神谷俊彦ほか編著/アニモ出版
※町工場に寄せた内容となっています。
「ビジョナリー・カンパニー シリーズ」ジム・コリンズほか/日経BP
「任天堂」井上理著/日本経済新聞社
動画「Life of Satoru Iwata」Geming histrian / YouTube (生成ではない日本語字幕あり)
※工場、倉庫関係ではありませんが今回参考にしています。